皮膚の秘密
『皮膚の秘密』というとても興味深い本を読みました。
オリジナルはドイツにて、2016年に出版された本ですが、日本では今年(2021年)の3月に発売されたばかり。
ヤエル・アドラーさんというドイツ人女性の皮膚科医、性病科医の先生が著者です。ドイツの有力紙「シュピーゲル」のベストセラーリストでナンバーワンに輝き、これまでに20ヶ国語に翻訳されています。
帯に書かれたこの言葉。
最大の臓器が、身体の心の内を映し出す
スキンケア、肌の調子を整える、と聞くと「何の化粧品を使おう?」と思いがちですが、やはり内面のケアも大事。どんなに良い化粧品や美顔器を使っていても、美容治療を受けても、生活習慣の影響は大きい気がします(もちろん遺伝や元々の体質なども関係しますが)。
ということで、この本はすごく気になっていました!
こちらが目次↓
実際に読んでみて、どの章も面白かったのですが予想以上に「香り」、「におい」に関する記述も多かったこと。
当たり前といえば当たり前なのですが、体臭は、皮膚の構造で勉強すると必ず出てくる、汗腺とアポクリン腺が関わっている。
そして、よくある話だと、好きな人、魅力的に感じる人のにおいと嫌いな人のにおいって何が違うんだろう?とか。そんなことについても触れられていました。また、昔は良いと思っていたパートナーのにおいが、どうして今は心地よく感じないのか、、、
そういえば、この本にも書いていましたがどうして実のお父さんのにおいは(娘からすると)臭いと思うのか?問題(笑)。特に臭くなくても、魅力的には感じないはずです、それはなぜなのか。
それにはちゃんと理由があり、私たち人間は、本能的に自分の遺伝子と似過ぎず、異なり過ぎでもいない免疫系マーカーを持つ人間をパートナーに選んでいて、近親相姦はこのような形で自然に予防されているんだとか。もちろんにおいだけでなく、パートナー選びは性格や容姿も(条件も?)要素として関わってきますが、こういった嗅覚に関するデータも本当に興味深いです。
あと面白かったのは、サウナの利用について。著者のアドラー先生は、サウナに入るときは必ずスリッパを履いて行き、素足では絶対に床やベンチに触れない!と決めているそうです。
気候や地域によりだいぶ差はあるようですが、統計によると2〜3人に一人がウイルス性イボまたは水虫に悩まされていて、最も感染しやすい場所はホテルのカーペットの上と公共のシャワーとプール(特にスプリングボードと更衣室)とサウナと書いてありました。
筋金入りのサウナ愛好家は、サウナに入ると足裏の血行が良くなって免疫力が高まり、細菌や真菌に感染することはない、と反論し、実際にそういった説もあるようなのですが、自分が行っているサウナで、実は隣の人が水虫だった、と聞いたら嫌ですよね。。。しかも水虫っていかにも、というものだけでなくこれも水虫の一種なの?!ということもあるので本人も気づいていないかもしれません。
私はサウナに行く習慣はあまりないので、ホテルのカーペットの方が気になりました。靴下とかスリッパちゃんと徹底しよう。。。
ただこの本はドイツで書かれた本ということと、ヨーロッパの生活や一般常識をもとに書かれている部分もあるのかな、と思うので、日本だとどうなのか、日本人だとどうなのか、などそこまで追えない部分もありました。この章に限らず。
また白人の間で深刻な問題となっている、皮膚がんについても多く記載がありました。皮膚タイプによって、日焼けの症状や日光の許容量・時間も違うので、気をつけないといけません。
紫外線による肌老化、光老化についても昨今日本ではたびたび話題になっていると思いますが、意外とSNSやネット上だけだったり。今はマスクをしているから大丈夫、と思っている人も少なくないと聞いて驚きました。
私は地黒ですが、割と若い頃から「シミになったら困るから」という理由で日焼け止めは結構重要視していました。周りに「意味ないよ」と言われながらも「いいの!」と強気に?やってきて良かったです。これがシミだけでなく、シワやたるみの原因にもなるなんて、10代の頃の私は多分ほとんど理解していなかったと思います。
でも多分十分ではなかった部分もあるし、顔はまだしも、腕や脚はサボったことも多く少しずつサボったサインが出始めてきています・・・。反省。
海外で働いていた頃、様々な人種や国籍、年齢のお客様を担当しましたが、「日光大好き!」の白人のお客様の肌はこういったデータが嘘ではない、ということを私に思い出させてくれます。
50〜60代の、水分が本当にない、どこに行ってしまった?状態のカサカサ乾燥肌の方、たまにいらっしゃいます。深いシワも刻まれていました。全然商材やオイルが浸透しません。
20代で若く美しい、透き通ってハリのある肌を持っていた元同僚たち、30代手前あたりから一気に老け込んでしまいました。
フェイシャル、スキンケアのスペシャリスト!と言いながらガンガン日焼けしていた彼女たち。。。なぜ日焼け止めを塗らないのか、と思っていたけど最近ようやくわかってきた子もいるようです。
反対に、あの頃から徹底的に日焼け対策をしていた数人の元同僚(少数)は、相変わらず美しい肌であまり大きく老け込んだ様子はないので、紫外線対策って本当に重要だな、と実感すると同時に「みんな、色々とリアルな実験データをありがとう」という気持ちもあります。
老化への影響だけならまだしも、皮膚がんなど病気につながってしまうと、話はもっと深刻になってしまう。やはり体は正直に反応してくれるので(日焼け後の赤く熱を持った肌を、友人たちは痛くて辛そうにしながらもちょっと自慢げに見せてきてましたが)、体の声を聞く、耳を傾ける、ということは大事だなと思います。
他にも、知らなかったことや、知っていると思っていたけど理解が浅かったなと思うこと、自分が今まで正しいと思っていたことと反対のことが書かれていたり、色々と考えさせられる本でした。
ユーモアや皮肉あり、時に楽しく、時にちょっと難しく、と一度読んだだけでは全て噛み砕けないくらいボリュームたっぷりの内容!結構分厚い本です。皮膚や健康・美容に関してオタクな人、マニアックな人じゃないと全部は読めないかも(笑)。
え、そうなの?!そうだったの???
ほぇ〜!
と思いながら読みふけり、最終的に付箋だらけになりました(笑)。
一度読んだだけでは、私の頭では残念ながら消化しきれず、自分の知識にしきれなかった部分も多くあるので、またいつか、折を見て再読しようと思います。
セラピストや健康オタクな人は絶対好きな本だと思います!好きな章だけ読むのもいいかも。日本人なので日本人の先生が書かれた本が一番すんなりと理解しやすく良いのかもしれないけれど、海外、国際的なものもたまに触れるとやはり視野が広がります。
そしていつも、外国の本は翻訳も大きく影響すると思います。今回翻訳されたのは岡本朋子さんという方で、訳注など、日本人にもなるべくわかりやすいように解説がされていて、そちらも好印象でした。
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