今はどうかわかりませんが・・・
私がイギリスにいた頃、主にロンドンではなく少し田舎の方だったこともあり、スーパーでいつも日本食が手に入るというわけではありませんでした。あるとしても、ちょっと高級な部類に入るスーパー(ホールフーズ、Waitrose, M&Sなど)かアジア系の小さなお店がメイン。そしてちょっとしたコーナーで、「日本のよりまずそう」「私が知っている○○じゃない・・・」「値段が高い」というような理由で日本にいる時と同じようにはもちろん買えませんでした。
今もその流れはあるものの、場所にもよるようですが少しずつ選択肢は増えている様子。
豆腐に関しては、正直上に書いたような印象でほとんど、というかもしかしたら一度も?買ったことはありませんでした。
そもそも私が知っている「豆腐」は冷蔵コーナーにあって、水が入った「新鮮で美味しそうな」豆腐。なんで紙パックに入って中身が見えなくて、常温コーナーに置いてある賞味期限がやたら長い「絶対おいしくないでしょう」「偽物っぽい」という見た目の豆腐を、わざわざ高いお金を出して買わなきゃいけないんだろうと思っていました。というかなんでそんな賞味期限が長いの?保存料たくさん使って体に悪そうなものが入っているんでしょう?と無知な私は思い込んでいたのです。
でもこの本を読んで雲田さんに謝りたいと思いました・・・心の底からごめんなさい。
雲田康夫さんという方が書いた、
『豆腐バカ- 世界に挑み続けた20年』。
あの豆腐、無菌充填加工という特殊な加工がされている、森永乳業の誇る技術の詰まった普通に美味しい豆腐だったみたいです。ということでなんと保存料不使用。
そして、今では災害時のための非常食としても注目されている素晴らしい商品。
「森永 絹ごしとうふ」 「お料理向き 森永とうふ」 2019年1月22日(火)より全国にて新発売 | ニュースリリース | 森永乳業株式会社
森永乳業 宅配ミルク|商品のご紹介|森永 絹とうふ/森永 絹とうふしっかり
それを知らなくて申し訳ございません、というだけでなく、まさに「不味そう、私の知っている豆腐じゃない」と同じような理由で、現地(アメリカ)に住む同胞であるはずの日本人にも言われて傷ついた、というエピソードも描かれていて心が痛みました。
日本人なら「ありがとう!遠く離れた異国の地でも豆腐が食べられて嬉しい!かんばって!」と言ってもらえると思っていたのに、と。切ない(涙)。
今でこそ「豆腐」という食べ物、日本語が海外でも"TOFU"として知られるようになり、海外でも愛されるようになりましたが、ほんの数十年前までは、世界の多くの地域で豆腐は人間の食べ物としてすら認識されていませんでした。
もちろん日本だけでなくアジア、主に中国・韓国の方々は元々豆腐を食べ、ルーツは中国のようです。この辺りの歴史に関しても少し記載がありました。
この本は、雲田康夫さんという方が豆腐を世界に広めるために歩んだ壮絶なリアルストーリー。1980年代に豆腐の新たな販路を求める会社にアメリカ現地法人の責任者を命じられ、悪戦苦闘しながらも今の豆腐の地位を築き上げた立役者の一人。
めちゃくちゃ面白かった!そして感動しました。いつか映画やドラマになってもいいんじゃないかというくらいの波瀾万丈な、でも聞く(読む)人に勇気を与えるような人生。
森永乳業の社員だった雲田さんは、豆腐を売るという目的で渡米。正直数年の駐在、という気分で行ったもののそんな甘い話では終わらず、「アメリカ人の嫌いな食べ物1位」に選ばれるほどの豆腐をどのようにして広めたのか。
ビジネス、異文化、法律、歴史、宗教、サラリーマン、駐在、家族、老害、食、健康・・・
色んなことを考えさせられる一冊でした。
うわぁ〜アメリカっぽい、と思ったり、
日本の企業の古い体質が気になったり、
でも大企業ってやっぱりすごいな、と大企業の組織力、リーダーの気質、決断力、挑戦し続ける勇気なども考えさせられました。
自分・自国の常識は他人や他国の非常識になることもある、
郷に入っては郷に従うことも大切。
そして両親の仕事に振り回される子供・・・
小さい頃、私は「なんでパパは海外出張とか転勤とかないの?私も海外に住みたかった!」と軽い文句を言ったことがありますが頼んでもないのにいきなり言葉もわからない、誰も知らない異国の学校に行けと言われることがどれだけ小さい体と心の負担になるのか、と当たり前のようなことも考えさせられました。
時代の違いはあるものの、ビジネス、特にマーケティング、セールスプロモーションにおいて何か重要なヒントや、 グローバルな人材とは?みたいな大きなテーマにも関係する面白くてためになる本だなと思います。文庫本の解説にもそのようなことが書いてありました。
本は全体的に、話し言葉のようにコミカルに書かれているので、堅苦しくなく読みやすい構成。
私がイギリスや海外で見たあの豆腐が、雲田さんの会社の豆腐だったかは思い出せませんが、次に海外に行くようなことがあれば、スーパーなどでチェックしてみよう。そしてもしまた長期滞在をするようなことがあれば、あの豆腐を買ってみようと思いました。
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